Blue season's

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決意を 固めていくかのように 一段一段 アパートの階段を ぐっと踏みしめながら 上がってゆく。 鍵を開け ドアを開けば そこには これからの 道標。 心を満たす 糧。 結の絵――― 明日からの僕の 支え。 冷やしておいた 缶ビールを 空きっ腹に 流しこみ 絵の端を手に取り 眺める。 結の母親と同様 絵に関しては 僕とも ほとんど 話題にはのぼらなかった。 それでも 僕の名前が 書いてあるかぎり 僕に対して何かしらの メッセージが あるのではないか? そう思わずにいられないのは 仕方のないことである。 けれど 隅々まで繰り返し 繰り返し見つめてみても 絵は僕に 何も語りかけてはこない。 「わかんねぇよ…結……」 思わず零して ベッドにもたれる。 ギシリと軋む音だけが 部屋に響いた。
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