Blue season's

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冷めてしまった 野菜コロッケを ちまちまと つまみながら 残り少ないビールを 飲み干す。 酔いがまわり 張っていたものが 途切れたのか 急な睡魔に襲われる。 このまま 眠ってしまえば いいのだけれど 目を閉じたら 朝が来てしまう。 時が瞬く間に 過ぎてしまう。 うつらうつらとしながら 目を凝らし 絵を眺める。 少しでも長く こうしていれば 何かが 見えてくるのではないか? この絵の景色の 向こう側から見た景色に 何かが 隠されているのではないか? 瞼と疑問が 重くのしかかり ぼやけてゆく。 意識が遠退いてゆくのが 自分でもわかる… ……………… …………………コチコチコチ… デジタル時計しかない この部屋に 時を刻む 秒針の音が聞こえる。 僕は不思議と 不思議がりもせずに いや むしろ 漠然とした 懐かしさに包まれて 暖房器具を 一つも動かしてもいないのに 体の奥底から ジンジンと伝わる 心地好い熱に 身を委ねた。
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