ゼロの小さな挑戦

33/68
8666人が本棚に入れています
本棚に追加
/347ページ
チビっ子魔女が張った透明な結界の天井部分にべったりと張り付いていたのは、俺も初めて見る、巨大なゴーストだった。 結界の天井全てを覆い尽くすように広げられた腕は骨に僅かに干からびた肉を纏っている。落ち窪んだ眼窩、頭蓋骨に張り付いた皮には幾重にも渡る深い皺がきざまれていた。 振り乱したバサバサの髪には白いものが混じり、身体中から禍々しい瘴気が溢れ出している。 そして、結界を破ろうと蠢く様が最高に怖い。 うわあ、これは俺でも怖いっつうかかなり嫌だ。そりゃあひょろ長君も気絶するわ。 そう納得し、ふと心配になって後ろを振り返る。 案の定、ウチのマスターも遠いところに行ってしまったらしい。机に突っ伏したままピクリとも動かなくなってしまった姿は哀れを誘う。 叫ぶ事すら出来ずに、気絶したんだな……。
/347ページ

最初のコメントを投稿しよう!