ゼロの小さな挑戦

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筋肉男を抱き竦めるようにゴーストが纏わりついている。引き剥がそうと必死でもがいているけれど、もちろんゴーストに触れる事は出来ないようで、彼の無骨な手は空を切るばかりだ。 そして、筋肉男の腕が急にダランと力なく垂れた。 「ビュー?」 筋肉男が急に脱力したせいか、ふくよかちゃんが心配そうに顔を覗き込む。 「ひっ……!」 真っ青になって筋肉男からバッと離れるふくよかちゃん。それもそのはず、筋肉男の顔には気味の悪い笑みが浮かんでいた。 さっきまでの、離れたまんまるな目がなんとも愛嬌のあるイメージなんか欠片もない。大きな口が気持ち悪く吊り上がって、目は異様に細められている。 「ひひひ……」 口から洩れた笑い声は変な残響を伴っていて、背筋が寒くなるみたいだ。
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