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「び、ビュー? どうしたの?」
少しずつ後ずさり距離をとりながら、ふくよかちゃんが話しかける。
筋肉男は、その筋骨隆々とした自らの両腕をにやにやと眺めて、気持ち悪い笑い声を響かせた。
「ついに……からだを、得た」
ニヤア、と笑ったその顔のおぞましい事!
「うわあああああ! ビューが取り憑かれたああああ!」
おっとりふくよかちゃんとは思えない絶叫と素早い動きは見事という他なかった。感心したのは、結界に逃げるわけでもなく、素早く移動した先がなにやら詠唱中のちびっ子魔女の傍だという事。
ふくよかちゃんは、ちびっ子魔女を庇うように立ちはだかり、功夫の構えを決める。
ふくよかちゃんって武闘家だったのか。
なんて考えてる間にも、のし、のし、と足音が聞こえそうなゆっくりとした足取りで、筋肉男は獲物に近づいて行く。
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