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巨大なアックスを肩に担いで、空いた左手は拳を握ったりバキバキと指を鳴らしたり、まるで体の操作を試しているみたいだ。
「肉体がある、のは、素晴らしい、な」
言いざま、巨大なアックスが空を切る。
「くっ……! せいやっ!」
素早くアックスを避けたふくよかちゃんは、筋肉男の腹に渾身の蹴りをお見舞いした。
よろり、とよろめき、二、三歩後ろに後退した筋肉男は、それでもニヤニヤとした笑みを消さない。
「おお……体に受ける衝撃も、心地よい」
分厚い筋肉でさほどのダメージにならなかったのか、それともゴースト本体にはダメージがいっていないのか。余裕綽々なその様子に、ふくよかちゃんは唇を噛みしめる。
その時。白い陽炎のような焔が、筋肉男の全身を一瞬にして包んだ。
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