ゼロの小さな挑戦

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働きに満足している、という体でうむうむ、と頷くグレイ。さっき能力は普通だ、と言っていたが普通のゴーストより数段怖い気がする。 「さっき申し上げました通り、能力はあくまで一般的なゴーストなんですがね。ちょっと特技があるのですよ」 「特技?」 「ええ、実は彼は有名な旅役者なのですよ。そういうスキルを保持したままゴーストになっていましてね」 「え、じゃああれは」 「演技ですな。いやあ、実に真に迫っている」 俺はモニターを思わず二度見した。モニターの向こうでは、不気味な笑みを浮かべたまま巨大アックスを振り回し彼女たちを翻弄する筋肉男---ゴーストの姿が見える。 あれが、演技。 「ルリさんがこういうのは演技力が重要だ、とおっしゃいまして」 ルリか! なるほど、ルリが考えそうなことだ。
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