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赤から段々黒が近づくように空が染め上がっている。
俺が色々考えながら歩いていると神社の石段に座る小さな子供がボロい上下の白いワンピース姿で麦わら帽子を被って座っていた。
通るのに邪魔だったので俺はその少女に声をかけることにした。
「あのっ。
ソコに居られると色々と邪魔なんだけど……聞こえてるか?」
俺が声を掛けるとその少女は此方を向いてこう言った。
「声を掛けるのでしたらまず先に名乗ってください。
私がこの地まで来た理由が無くなります」
彼女はその場で素早くそう言って返してきた。
何やら場違いな返答だったので俺はその少女に再度聞き返す。
「だから聞こえてるならそこどいてほしいんだけど?
一応この上の神社俺んちだからあんま無視できないってゆうか、そんなわけだから」
俺がそう言うと彼女は聞き返す。
「色々とはなんのことでしょうか?
この場で事情をお聞かせください」
何とも無愛想なそれでいて無機質で機械的な返答の仕方に俺は違和感を覚えた。
夕暮れの町並みに神社の石段に座り込む謎の少女。何とも中二臭いシチュエーションに現役の中坊は意志疎通を図ろうとするわけがなく、寧ろ傍観者としてあしらった。
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