【白の章】出会い

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 ホントはこの少女は物凄く頭がよく、自身でカードゲームを作れるくらいに金持ちだったりするかもしれない。 ――まぁ、あるはずもないが……。  何より俺にはこのカードゲームでの少女の腕前すら分からないし、寧ろ俺が不利なのはルール覚えたてな以上仕方がない。 「では、ゲームをはじめてもよろしいですか?」  少女の一言で俺は場の空気を読んだ。  コレはカードゲームにおけるイメージとでも言おうか、相手の発しているモノが自身にとって有利か不利かを測る一種の占いである。  俺はこの空気を読むのが得意だ。  なので、今回の状況も手に取るように分かっていた。  明らかに俺の不利である。  不利であるとはいえ、今さら勝負は断らない。  何より俺にはこの状況で最も重要となるファクターがあった。  それは……。 【このカードゲームをプレイしてみたい!!】 「では、先行を決めます。先行のプレイヤーはこの先行盤(せんこうばん)で決めます。」  先行盤。近代のカードゲームでは大抵この方法が先行を決めるのに用いられる。  先行盤とは真ん中の針を一人が回し、そのまま盤面を裏向きにした状態でもう一人がその針を盤面を裏向きのまま止める。
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