第1章

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* 魔法少女。それは古くより戦いを続けてきた者たちの総称。アニメのような奇跡も、必殺技もなく、時に地べたをはい、吐血しながら見苦しく戦い、幾多の彼女たちは死んでいった。 * 「コスチュームボロボロだねぇ……」 アパートの一室に戻った二人。ピンクの少女が青い少女を見て言う。 「私は初心者なんです。そういうサヤこそ、やられそうになってたじゃん」 青い少女、ユウはふてくされたように言う。 「まぁね。ささ、お風呂はいろ」 「二人入ったら狭いし、サヤが先に入りなよ」 ピンクの少女、サヤはユウの汗を嗅ぐ。 「汗くさーい。ユウをこのままにできるか、レッツゴー!」 引っ張られるユウは、空いている左手で頭をかいた。 「ユーウとおっふろーたっのしーなー」 「……ご機嫌だね」 「だって久しぶりじゃん」 頭を洗うユウを見て、ニヤニヤするサヤ。 「何がそんなに楽しいのか理解できない」 ユウの言葉に返事はなく、サヤは満足そうに笑うだけだ。ユウは笑い声をかき消すように、シャワーで泡を流していく。ついでにシャワーをサヤに向ける。
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