1人が本棚に入れています
本棚に追加
*
魔法少女。それは古くより戦いを続けてきた者たちの総称。アニメのような奇跡も、必殺技もなく、時に地べたをはい、吐血しながら見苦しく戦い、幾多の彼女たちは死んでいった。
*
「コスチュームボロボロだねぇ……」
アパートの一室に戻った二人。ピンクの少女が青い少女を見て言う。
「私は初心者なんです。そういうサヤこそ、やられそうになってたじゃん」
青い少女、ユウはふてくされたように言う。
「まぁね。ささ、お風呂はいろ」
「二人入ったら狭いし、サヤが先に入りなよ」
ピンクの少女、サヤはユウの汗を嗅ぐ。
「汗くさーい。ユウをこのままにできるか、レッツゴー!」
引っ張られるユウは、空いている左手で頭をかいた。
「ユーウとおっふろーたっのしーなー」
「……ご機嫌だね」
「だって久しぶりじゃん」
頭を洗うユウを見て、ニヤニヤするサヤ。
「何がそんなに楽しいのか理解できない」
ユウの言葉に返事はなく、サヤは満足そうに笑うだけだ。ユウは笑い声をかき消すように、シャワーで泡を流していく。ついでにシャワーをサヤに向ける。
最初のコメントを投稿しよう!