3、秘密のフォロワー

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 早瀬凪人(はやせ なぎと)は、『ショートタイム3600円~』と料金案内が書かれた看板の前に立った。  瞼の上で切りそろえられた茶色い前髪の下、大きな瞳が訝しげに凪人を映す。 「行こ?」  咲和(さわ)から放たれる不信感を肌で感じながら、凪人はケロッとした様子で、尖った顎先を入口に向けた。  咲和はグロスを塗った唇を噛み、長い作り物の睫毛を伏せた。白いハンドバッグの取っ手を握り締める手に力がこもる。  凪人は、わざとらしく小首を傾げた。 「どしたの?」  凪人の声は明るい。 「……こんなつもりじゃ、なかったのに」  咲和はか細い声で呟いた。
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