57人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「邪魔よ」と言わんばかりに、40代のカップルが凪人を睨みつけている。
凪人は軽く頭を下げ、看板の前から立ち退いた。
――結局、お互いの本名も知らないまんま終わったなあ。
駅付近に戻った凪人は、全国チェーンのカフェに入り、アイスコーヒーを注文した。
運よく空いていたカウンター席に座り、デニムのポケットからスマートフォンを取り出す。
ネットに接続し、エイルのマイページを開く。フォローリストを確認して、凪人は小さく頷いた。
……やっぱり。
すでに咲和からのフォローは外されていた。
これが現実だよなあ。
凪人はストローを咥えた。
最初のコメントを投稿しよう!