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咲和には夫がいる。夫に内緒でエイルに参加しており、いろんな男性と楽しげにやりとりをしている。凪人はそのうちのひとりだった。
咲和は、会話を楽しむだけで満足する人間だったのだ。
【ナギ君、格好いい~】【絶対イケメンだよね】【ナギ君大好き】と書き込み、それに対して凪人が、【え~、咲和さんだって絶対可愛いでしょ】【そんなおだてないでよ】【僕だって咲和さん好きだよ】と返事をすれば、満たされる。
リアルの繋がりなど望んではいない。ましてや、凪人と不倫をしようなどとは微塵も思っていなかったのだ。
ただ、好意を持っていたのは事実で、相手がどんな顔をしているのか、外見にも興味があった。その好奇心を満たすチャンスがあるなら、会ってみたい。
「て、とこだったんだよなあ」
ストローを咥えたまま、凪人は小さく呟いた。
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