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「あ、いや、それはその、問題はない程度に」
「拭いたんだな?」
体育教師の高圧的な態度に、俺の思考はフリーズしてしまう。
画面越しならともかく、目と目を合わせての会話能力が低い俺には、この厳つい体育教師のプレッシャーは重過ぎたのだ。
「そ、それはあとで、やっといてもらうんで」
「ああん?まさか清水にやらせてるんじゃないだろうな。お前が私用で使ったんだろう。何でお前が自分でやらない」
「えと、それは……」
「そんな無責任な考えでバレー部を作るだなんてよく言えたもんだな。ただ遊びたいなら公園にでも行ってろ。学校の備品は県のお金、つまりみんなの税金から出てるんだぞ。それをお前のような奴のお遊びに使わせるわけにはいかん」
あからさまに選択肢を間違えた。
いろいろとツッコミたいところは多いがそんなことよりも、今はこのお説教をどう切り抜けるかが問題だ。
体育教師の高圧的な視線と口調と言葉にメンタルポイントをすり減らしながら、打開策を模索する。
しかし当然ながら、委縮し集中力を欠いてしまった今の俺には、そんな冷静な思考はできない。
諦めて肩を落とした、その時―――
泣き寝入りを覚悟し脱力し始めた俺の背中に、聞きなれた大声が浴びせられた。
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