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そういえば、俺は高校生になるまで妹以外の女の子と話したことがほとんどなかったけれど、妹みたいな従妹とはそれなりに仲良くしていたことがある。
あれは、小学六年生の夏休み後半。
お盆の間家に泊まりに来ていた従妹は、何故か俺によく懐いていた。
「怜ちゃん、いっつもパソコンゲームやってんね。楽しいの、それ」
「うん、楽しいよ」
「へー、あたしにもやらしてよ」
「だーめ、これは俺のアカウントなんだから」
「ふーん。じゃあ見てるだけにする。いいでしょ?」
「じゃましないんならいいよ」
「うん、しないしない」
俺の一つ下で、器用で頭が良い従妹は、後ろから画面を眺めているだけですぐにゲームの概要を理解した。
「怜ちゃん、シナリオクエスト進める前に、討伐系のデイリークエストとかサブクエスト受けておいた方が効率良く経験値稼げるよ」
「う、うん。そう言われればそうだね、ありがとう」
お盆が終わる頃には、ゲームを始めて日が浅い俺よりもよっぽどゲームに詳しくなってしまっていた。
「楽しいね、このゲーム」
「ならやればいいじゃん、家に帰ってから」
「うん、考えとく」
それ以来彼女の両親の都合が合わず、一度も会ってはいないし、当時携帯電話を持っていなかった俺達は連絡もとっていない。
その従妹が夏休み中ずっと家に泊まりに来るという話を両親から聞いたのは、終業式の朝のことだった。
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