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「う……そりゃそうなんだけど」
素直に頷くことは難しい。
今は、いつものようにのんびりやっていれば良いというわけではないのだ。
後ろから迫り来る脅威に飲み込まれないためにも、俺は一刻も長くパソコンの前に……
「プール行こうよ。ねっ?」
考え込み俯く俺の目を見ようと、清水さんは膝を抱えて覗き込んだ。
必然的に、俺は膝を抱えた姿勢の彼女を見下ろす形になる。
暑い夏でもなるべく快適な学校生活を送るため、女子生徒はそれ相応の工夫をする。
その内容は人によって異なるが、学校指定の白いブラウスの下に最低限の下着しか身に付けないとか、いつもより一つ多くブラウスのボタンを外すとか。
どうやら清水さんはその両方を実行しているらしく、即ち俺の視界には、両腕に挟まれ強調されたアレとか、ブラウスの隙間からお目見えする最低限の下着とか、そういったものが映った。
盗み見る形で視界に入ってしまったそれは、正々堂々とプールで見ることができるであろう水着姿への期待を膨らませてしまう。
「早坂ぁ!」
「応よ!」
俺は様々なものを誤魔化すため、声を張り上げ右手を振り上げた。
早坂は俺の心境の変化を察し、手を差し出す。
その手を、俺はがっちりと掴む。
「よろしくお願いしまぁっす!」
こうして、俺の夏休みのリアルは充実してしまうのだった。
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