第1章

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11月のはじめ、俗に言われる初冬のある晴れた肌寒い朝だった。河原悠は嫌な記憶を思い出し苛まれていた。憂鬱な気持ちのまま自分の「コード」を閲覧する。 画面の端には「2212 11月7日月曜日」と表示されている。 悠は寝ている間に届いているメッセージを確認する。受信ボックスには新規のメッセージはなかった。 こうして悠、いや、この時代における人間の朝が始まる。 部屋は微かに無機質な匂いがする。机、イスそれに加え電化製品などのプラスチック、金属の類の匂いだ。 悠は自分が起きると自然と明かりを調整し、最適に照らしてくれる照明の白色光を嫌った。部屋は全体的にそれに照らされていた。 「自動照明解除」 部屋に1人しかいないの声を発生する。非常に馬鹿げたことだと理解しながら仕方のないことだと納得する。 この部屋のシステムは自分好みにカスタマイズされている。そして、システムは設定した本人の声でなければ反応しないのだ。 つまり、自動で証明がつくのは自分で設定したことになる。
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