第1章

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部屋は先程とは違い薄暗く、カーテンの隙間からわずかに光が差し込むだけである。 悠はカーテンを勢い良く開ける。カーテンはシャーッと鋭い音を立ててレールを滑る。 悠は光が眩しく目をぎゅっと絞る。その後はゆっくりと目を開ける。 この時、光が部屋に飛び込むさいに生まれるこの開放感、この感覚がたまらなく好きだった。 そして、この時の悠は自然をこよなく愛する少年だった。 現在自然を愛する悠であったが窓を開ければより様々なものを感じることができると理解していたが窓を開けることを拒んだ。 初冬ということもあり部屋の外は十度前後で肌寒く、かつ悠の住む部屋は十七階と高く(彼は高所恐怖症という訳ではない)窓を開けると吸い込まれるような想像を持っていたからだ。 悠はそのまま部屋をあとにする。 まずはキッチンに赴く。そこに着くとすぐシステムが話しかけてくる。 「今朝の朝食はどうしますか?」 いつもこうであるが必ず第三者と会話している気になる。 「ん…任せる」 そうシステムに告げると悠はキッチンをあとにする。システムの「かしこまりました」が誰もいないキッチンに響いた。
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