集合

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集合

「結構広いな」 「もっとお化け屋敷みたいなの想像してたんだけどなー」 「どんなだよ……」 「そんなおどろおどろしいのだったら誰も借りてくれねぇって」  当日、彼らは思い思いのものをもって仕掛け人に指定された場所に現れた。ある者は食材、ある者は懐中電灯を手にしながら、貸し平屋に向かう。それぞれの準備を済ませるとテーブルを囲んで座る。 「これが行灯?」  彼らの前には小さめの行灯が置かれている。 「有明行灯だね、主に寝る時に使う」 「ミヨちゃんが持ってきたって」 「真っ青な紙が貼ってあるね」 「なんかエキゾチック!」 「百物語の作法らしいよ」  主催者が未だ不明なので、舞台提供者ということで癖毛女子がこほんと小さな咳をし、開会の辞を述べる。 「えー、それでは諸君、巡り物語を始めよう」 『はい! ミヨさん!』 「あれ、どっかで聞いたことあるような台詞……」 「本当にあった……」 「みなまで言うな。作者の嗜好だ」  そして、百本の灯心に火が灯された。 「それで、どういう風に進めてく? 俺、トップは嫌ー」 「学籍番号順とか?」 「テストかよ」 「普通にアイウエオ順でいいだろ」  順番はあれこれ言い合った結果、【アイウエオ順】に決まった。三つ編みの女子が紙に、本日の参加者の名前をアイウエオ順に連ねていく。 「話すネタがなくなった、もしくは話したくない場合は、黙って次に回そう。それで良いか」 「へーい」  反対意見も出なかったので、そのようになった。テーブルの上で灯心はめらめらと燃えているが、青い囲いのせいで全員の顔は幽霊のように青白かった。 「では、一番の方」 「はい」  すっと、めいめいの視線が一人に集まった。
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