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五月カンナが帰宅してマンションのリビングのドアの前に立った時、中から聴こえてきた音楽に気付いてつい口元が緩んだ。
ドアを開けて歩を進めると、ソファで寛いでいたエティア・ハーツがカンナの方を振り返った。
「お帰り、早かったのね」
「お前の方こそ、珍しいな」
「忙しい中でも休息は必要でしょう?これも出来上がってきたから、早めに帰ってきたのよ」
エティアが小さな音楽プレイヤーを指差した。
そのプレイヤーからは、やや中年の男性と若い女性のデュエットが流れていた。
曲は演歌調で、歌っている二人をカンナは良く知っている。
「最初から聴く?」
「いや、後から改めて聴くよ」
帰宅したばかりで着替えることもあり、せっかく途中まで良い感じで聴いていたのに、それを止めるのは気が引けた。
着替えてくると言い残し、カンナはリビングを後にした。
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