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「カンナにしては、まぁまぁじゃない?」
かなりエティアにしては甘い評価をしてから、急にクスクス笑い出した。
「何だよ」
「カンナのこのレコーディングのこと思い出したら、おかしくって。歌い終わった時は嬉しそうだったのに、デュエット相手がシュルクだって知ったら一気に不機嫌になったんだもの」
「俺はデュエットだなんて聞いてなかったんだよ」
「あら、カンナ一人で歌いたかった?」
「そういうわけじゃないけど。何かアイツとは合わないんだよ」
「でも、シュルクもなかなかのものでしょう?」
カンナをからかうのが楽しいのか、エティアが笑いながらカンナに訊ねた。
カンナは認めたくなくて、すぐに返事をしなかった。
「シュルクも私と一緒にボイストレーニングとか歌のレッスンはやってたのよ。でも本人があまり目立ちたくないってことで、歌手になる道は選ばないで私のボディーガードやるようになったんどけどね。クレアちゃんのお母さんも歌を歌うのが好きだったみたいだし、シュルク自身もハーモニカは好きだったみたいだから、音楽はずっと身近にあったのよね」
シュルクがエティアと共にグレイスの元で歌の勉強をしていたことは、カンナは初耳だった。
昔を懐かしむように話すエティアを見て少なからず嫉妬したけれど、それを表情に出さないようにした。
そんなカンナの心境など知るはずもなく、エティアはプレイヤーを再び再生させる。
リビングにカンナとシュルクの歌う「小白竜」が流れる。
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