第1章

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 ほとんどのレコーディングが終了し、編集作業に入る頃になって事態が急転した。  グレイスとエティアが捕らえられ、バジュラとの最終決戦へと移って行ったのだ。  戦争が終わり、バジュラたちの惑星にフロンティアの人々が移り住み、平和な日々を過ごし始めてから、グレイスと共に編集をするはずだった人がエティアの元を訪れた。 「ずっと預かりっぱなしになっていたんです」  差し出されたディスクを見ても、最初エティアは分からなかった。 「皆さんで録ったデュエット曲のディスクですよ。私もすっかり仕舞い込んでしまっていて、最近になって見つけたんです」  よくあれだけの状態でディスクが残っていたと感心しながらも、それはまるでグレイスの形見のようにも見えて、エティアはディスクを手に取ってじっと見つめた。 「エティアさん、是非ともこれの編集をやらせてください。レコーディングを身近で見ていて、私は完成を想像してとてもワクワクしたんです。発表しましょう!」 「そうね、お願いできる?」  エティアのOKを聞いて、喜び勇んで帰って行く姿を嬉しそうにエティアは見送った。  こうして「娘々コラボ」こと「娘コラ」は完成したのだった。
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