第1章

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 カンナとシュルクの歌う「小白竜」が終わると、次に聴こえてきたのはエティアの歌声だった。  エティアとマオの「アイモ~鳥のひと」である。  カンナは初めて聴くアイモに耳を傾けていた。  もちろんエティアの歌うアイモを聴くのは初めてではないが、マオと二人で歌うアイモはまるで別な歌のようで、心にじんわりと温かなものが広がるようだった。  曲の途中で隣のエティアを見て、カンナはぎょっとした。  エティアが目から大粒の涙をポロポロ溢していたのだ。 「エティア?どうした?」  カンナの問いかけに彼女は答えず、泣き顔を隠すかのように膝を抱えてその間に顔を埋めた。  声も上げずにただ涙を流すエティアに、涙の理由が分からないカンナはお手上げだった。  こんな時は理由を尋ねても答えないだろうし、理由が分からなければ慰めようもない。  下手に抱き締めようものなら機嫌を損ねて、ネコのように引っ掻かれかねない。  カンナはもう一度だけエティアの名を呼んだが相変わらずなので、エティアが落ち着くまでそっとしておくことにした。  その間に飲み物でも…とキッチンに向かおうと立ち上がろうとしたが、何かに引っ張られた。  見るとエティアがカンナのシャツの裾を掴んでいたのだ。 「ホットミルク淹れてくるから」  カンナが言っても手を離さないので、諦めてソファに座り直した。  いつの間にかプレイヤーのCDは再生を終えていた。
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