Utopia

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「おい、中津?」 「え…あぁ、悪い。ぼうっとしてた」 先ほどから僕の元に来てギャーギャーと話しかけていたクラスメイトが、 僕の顔を覗き込んで、不思議そうな表情をしていた。 「そうか!!ならよかった!! それでな~」 また、うるさく話はじめる。 正直、興味のない話題。 そういえば次の授業で使うプリントが、まだあと少し完成してない。 そっちをやりたい。 でも、ここで無神経に『プリントしたいからどこかへ行け』と言ってはいけない。 そんなことを言ってしまえば、『空気が読めない』『自己中心的』だというレッテルを貼られるだろう。 そんなのは御免だった。 興味のない話題にも、相づちをうって聞く。 そうすれば相手は満足してくれる。 …僕が最近手に入れた、『日々を円滑に過ごす』ための、技術。
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