第1章

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「あぁっ!香織さんすいません!体験入店なんで許してやってください!」 トサカ頭がボジョレー・ヌーボーを頼んだ時より困った顔で駆け寄ってくる。 は? 何? 俺様何かやらかしちゃった? でも、体験入店だから許されるよな。 「ボジョレー・ヌーボー飲みたいんでしょ?一気飲みしな」 香織というブタ女は、そう叫ぶ。 周りに聞こえる様に。 “早くしろよ!香織さん体験入店、新人潰しで有名なんだからお前ヤバいぞ” トサカ頭が小声で囁く。 上等だ! やってやる! “3番テーブル香織さんからボジョレー・ヌーボー入りました!体験入店のキング君が頂きまーす” 何故か、マイクでアナウンスされる。 こいつら、グルか? スポン! コルクの抜ける音がする。 「キングくーんのぉ~ぐぐっと飲むとこ見てみたい~」 様々なコールが始まる。 これが、テレビで見たシャンパンコールの序章か。 いいぞ、飲んでやる。 コージは、ボジョレー・ヌーボーのビンを振りかざし、一気に飲んだ。 まずッ! こんなもんよく金出して買うな。 メル○ャンでも同じじゃねーか。 「ごちッす!」 プハーッと飲み干した。 軽い、軽いこんなもん。 これで50000だろ? やれる! 「飲みっぷりいいね、いいよ、タバコ吸って」 デブバカ女が灰皿を差し出す。 「だけど、そのタバコね!」 ふざけんな、もうフィルター迄焦げてる。 隣では、トサカ頭が軽く合図してくる。 “やれ”と。
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