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暫くしてチャイムが鳴り、皆自分の席へ戻って行き、席の近い者と小さな声で話す。
龍は机にうつ伏せているだけなので俺は鏡哉と話していた。
他のクラスに続々と先生が入って行くのが分かる。
しかしこのクラスには全く担任がやって来ない。
チャイムが鳴ってから5分。
他のクラスは自己紹介で盛り上がりを見せている。
少し経つとガタンと少々乱暴に扉が開いて教卓に向かって男が歩いて来た。このクラスの担任であろう。
「すまんすまん、自分のクラス何処か忘れてた」
持って来た物を教卓に置くと教室全体を見回す。
年齢は…どうだろうか、20歳と言われれば納得出来るし30代と言われても納得出来るような、そんな大人な感じの男だ。
顔は所謂イケメンでクールとか爽やかというよりもワイルドな感じ、顎髭が少しある。
言い表すなら酒が好きそう。
一部の女子はひそひそと「かっこいい」と言っているように聞こえる。
「んーと、俺はお前らの担任になる石狩 竜二だ。……特に言う事もねーから、まあ宜しく」
頭を掻きながら話す辺り話し好きでは無いらしい。
「せんせー、質問タイム!!」
女子の一人が後ろの方からリクエストをする。
数人の男女がそれに賛成して発言をする。
「ん、こんなおっさんにする質問とかあんのか? まあ、今から何するか決めてねーから……やってくれんなら助かるけどよ」
教卓の椅子に座り、生徒より少し高いくらいの目線になると頬杖を付いて言った。
「えっと、何歳ですか!」
「28だ……」
「先生、彼女いるんすか?」
「絶賛孤独中だ」
「好きな女のタイプは?」
「明る過ぎず暗過ぎず、俺にとって都合よければよし」
「先生、デカイのとちっさいの、どっち派ですか!」
質問が飛び交う中一人の男子が言うと女子から石狩に真面目な視線が注がれ男子は大笑いする。
「フッ、……デカイ方が好きだな、揉み心地良いし」
少し片方だけ口角を上げながら言うとそれを見て大抵の女子がショックを受けたような顔をする。
「なんか恥ずかしがらずに答える辺り男前!」
「ありがとよ、知ってる」
「うぉっ、先生まさかのナルシストっすか」
「それ相応の顔してんだろ?」
どうやら面白い先生にあたったようだ。
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