プロローグ

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本日は1限目しか無く、 質問攻めが終わると俺達は寮へ向かう。 圭太や鏡哉と別れると 校舎を出て、宿舎が並ぶ通りまで学園都市を歩く。 「ん、あそこか」 俺が指を指したのは同じような造りの建物が 向かい合って並んでいる広めの通り。 「結構近いんだな」 龍がそっちを見ながら呟いた。 移動が嫌いな彼にとって学校からの距離が 近いことはかなり嬉しいはずである。 そのまま時折お互いをチラチラと見ながら 指定された宿舎、にじいろ荘を探す。 「んーとこの荘は……ゆうやみ荘だな。」 「ここは……何だこれ、ロイヤルグレートプレミアムスウィートミラクルファンタジー荘……?」 「中二病って奴か」 肩を寄せ合ってその長い名前の表札を読む。 いつもならこれだけ至近距離にいたら 近付くなと言うはずなんだが、 この学園に入学してから龍は変わった気がする。 もしかすると俺に着いて来ると行った時から変わっていたのかもしれない。 「おーい……おい」 色々考えていると龍に頬をツンツンとつつかれる。 「ああ、すまんすまん」 少しよろめきながらハッと意識を戻した。 目の前には呆れた顔をして此方を見る龍。 「あれだ」 龍が指差したのは白い壁の建物。 柵は木で出来ていて虹の絵がペイントされている。 「名前通りだな」 目の前まで来ると鍵のかかっていない門を通り、玄関の前で立ち止まる。 新入生の為か、'鍵、あいてます'と表記してある紙が貼ってある。 「開けるぞ」 チラッと龍を見ると何も言わずに頷いた。 相変わらず無表情だ。 思い切って扉を開ける。
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