プロローグ

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「……でも、何でお前俺と一緒に行くって?」 所変わって新幹線の中。 相変わらず耳がおかしい。 ずっと気になっていた事を聞く。 何度聞いてもはぐらかされて来た。二人きりの今なら。 「お前、俺と離れると調子狂うだろ」 相手が目を閉じて腕を組みながら言う。 まあ、確かに。言う通り俺は龍といないと少しおかしくなると言うか。 昔からそうだった。 本当に二人で一つ、みたいな。 でもそれは相手にも言えることだ。 「お前もだろ」 相手の頭をポンポンと叩くと”否定はしない”と言って軽く凭れ掛かって来る。 今日は妙に素直だ。 こんな風に懐く時もある。 ただし俺にのみだ。 でも言うときっと面倒だから口には出さないでおく。 そのままお互いに凭れ掛かりながら俺らは眠りについた。 ***** 「おい、着くぞ、起きろエロ犬」 「うっせー起きてるわバカ猫」 子供みたいなやりとりで目を覚ます。目的の駅まであと5分ほどだ。 「にしても、学園都市の駅に新幹線って、すげーよな」 「だよな、国内最大級の学園都市といっても驚きだ」 珍しく俺の意見を肯定する龍、少し嬉しくなってニヤけてしまう。 「何ニヤニヤしてんの、キモ、変態」 「変態で結構、ま、お前には負けるけどな」 「エロ犬に言われたくねーし」 こんな些細なやり取りだが、 いつも出来る事では無いから 俺には特別なことだ。 「っにしても、可愛い女の子いっかな~?」 さっきあれだけ言っておいて普通に切り出す龍。 「好きな人、被ったらどうする?」 「お前なんかと俺の趣味一緒にすんじゃ……まあ、一緒だな」 途中まで言いかけて渋々折れる。 性格は多少違えど、恋愛面や性癖に関しては全く同じだ。 以前も同じ女を好きになって喧嘩した事がある。 「また喧嘩すっか」 「もう餓鬼じゃねーんだから」 会話を楽しみながら苦笑する。 そんな事をしている間に間も無く到着とのアナウンスが響き、電車がゆっくりと停車して行く。 「「あの子可愛い」」 ほぼ停車しかけた時、窓越しに同じ女子を指差す。 「……あ」 「……お、おう」 目を合わせるとじっと見つめ合う。 かなり時間が経ったような気がしてやっと扉が開いた。 一目散に荷物を持って走り出す。 「待てエロ犬」 後ろから龍が追いかけてくる。 今日の彼は分かりやすい。
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