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「……可愛い」
荘に戻ると龍はソファに寝転んで
猫を抱きかかえては無表情で
じーっと見ていた。
「あの猫、誰のなんだ?」
七瀬先輩がソファに横に座りながら尋ねた。
「今探してるとこなんすよ」
「ふーん、にしても弟君が動物好きだとは!」
興味津々に猫を……
というより龍を見ながら言う先輩。
「悪いですか」
「いいえ全くッ」
龍の威圧感は先輩をも震え上がらせる。
そういえば俺の記憶に微かに
龍がまだ幼稚園くらいの頃
よく犬の真似をしていた事が
残っている。
あの無表情の龍がワンワンと鳴くという
これまたとてもレアな光景だ。
実家にビデオが残ってないか探そう。
「……わん」
その小さな声は猫にしか
届いていなかった。
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