早々に文化祭

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翌朝、猫をリビングのケージに 入れると学校へ登校した。 「鏡哉様の参上だッ!」 「参上したのはこっちだけど」 教室に入ってきて自分の机に 座るなり五月蝿…明るいお出迎えだ。 朝からこんなに陽気でいられる 気力が俺も欲しい。 「昨日何か決まったのか?」 何気なく聞く。 「昨日って?」 「放課後田臥さんと決めてたやつ」 「……ぁー、誰がどんな衣装着るとか!」 と言って答える鏡哉は 何処か慌てているように見えた。 どうした、と言おうとしたが 何故か触れては行けない気がした。 「なるほど。鏡哉の和服も似合いそうだな」 「へへ、そりゃそうだ!」 お世辞ではなく本心で言ったことだが、 この復活ぶりを見る限り 大したことでは恐らくないのだろう。 しかし、その頃龍はある人物を 密かに見ていた。 悪意が垣間見える気がする、と。 「そういや猫拾ったって?」 思い出したように鏡哉が言う。 「あぁ、龍が」 「確か意外と動物好きらしいな」 そういえば何度か話したことがある。 「意外とは何だ淫乱犬」 鏡哉の背面にいきなり龍が現れた。 「うぎゃ! いきなりこえーよ! しかも俺がいつ淫乱な発言したってんだ!」 「犬は黙ってろ」 そう言って龍は鏡哉の頬を (かなり強く)引っ張った。 「うぃででででで! ぃぁい!はあせぇ!」 足をジタバタさせながら 鏡哉が訴える。 「穂坂くん、放課後また資料室に」
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