早々に文化祭

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「見つからなかったな~」 結局6時くらいまで探したが 飼い主は見つからなかった。 もしかすると野良猫が迷い込んだ のでは、とも考えたが 鳥類以外の野生動物が 簡単に入れる環境に なっているとは思えない。 おまけに猫の事を知っている という情報も皆無で、 何のあても無いのが現状である。 「猫……お前の飼い主誰だ」 通じるはずのない日本語で 無表情で猫に尋ねる龍。 しかし彼なら動物と話せる、 なんて事実があっても そこまで意外では無いかも知れない。 まあ、双子だからそれは無いのだが。 荘の前に着くと懐かしい香り、 カレーの香りがしていた。 この荘ではいつも3年の 手嶋先輩というこれまたちょっと 変わった人が料理をしてくれている。 本人は口に出さないがなかなか細かい ところまで料理に工夫がしてあって、 おせちなんかを作らせたら 凄く上手だと思う。 父、亮太郎はあまり カレーを作らない人だった。 説明していなかったが俺には姉がいる。 その姉が一人暮らしを始めるために 家を出るまで、たまに夕飯を作ってくれた。 その時たまに出るカレーを 食べた記憶がある。 あと、いつか圭太と一緒に 作ったのも覚えている……。 俺は母の料理を食べたことがあるのか
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