早々に文化祭

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「おはよ」 「おはよう圭太」 学校に到着すると一部の女子が 教室の間の方に集まって 何かの作業をしていた。 覗くと、結構本格的な和風衣装が 仕上がっている。 昨日の放課後から衣装製作を 始めたと聞いたけど、 予想以上の出来だなー、と少し驚いた。 和服と洋服では型の時点で つくりが違うようで、 クラスに一人、親の実家が 京都の和服屋だっていう子がいたから 詳しく教わったらしい。 少しメイドカフェを意識してか、 和服ながらも抑えめのヒラヒラが 付いていて斬新だけど 良い感じのデザインになっている。 「おはよ」 圭太が挨拶した先に目をやると 俺の前の席の鏡哉がいた。 「おーはよー」 いつも通り呑気に挨拶を返す鏡哉。 いつも通り?いや、少しテンションが 低い気が……まあ、 誰にでも日によってテンションが 違うのは当たり前だろう。 「二人とも、ちょっと話g 「穂坂くん、文化祭のことで少し」 何か深刻そうに言おうとした 鏡哉の声を遮ったのは 少し不自然な笑みで後ろに立つ 田臥だった。
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