早々に文化祭

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「ありがとうございます! 本当にありがとうございます!」 にじいろ荘の前でしきりに繰り返し 頭を下げる金髪の少女。 彼女は猫が友達という 国輪 茶昧(くにわ さくら)である。 「ううん、気にすんな。 猫、大切にしろよ」 どこか他の皆と比べると 適当な返事をしているように まだ聞こえてしまうが、 龍はこれでも、愛想良く 対応できるようになったものだ。 聞き込みをしても飼い主の 情報が分からなかったのは、 国輪が学校から帰るなり 終日自分の荘で猫と戯れるような 人物で、あまり人との交流が 無かったからだった。 見た所明るそうな性格で 友達を作ろうと思えばすぐ作れるのだろう。 きっと猫といるのが一番幸せだから そうしているに違いない。 「本当に、蓮さんもお兄さんも 有難うございます」 「色々と逆だよ」 「ああッ!すみません」 とにかく飼い主が見つかり、 一件落着だ。 国輪はまた遊びに来ると言って 荘に戻っていった。
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