早々に文化祭

20/23
前へ
/92ページ
次へ
「いよいよ文化祭まで残り2日です。 現在の各班の進行を お聞きしたいと思います」 田臥と鏡哉の進行で始まった 最終ミーティング。 和風カフェの進行に問題がないか、 順を追って確認していく。 「調理班からお願いします」 鏡哉は最初の頃は少し 緊張していたものの、今では違和感なく クラスのリーダーになりつつある。 「はい、メニューは完成、 レシピも全て作りました。 食材ですが、鮮度が重要なものは 明日、つまり前日に買う予定です。 が、万が一の事を考え、 全食材最低限の量は事前購入しています」 調理班のリーダーが 記入したレポートを読み上げる。 「分かりました、 続いて衣装班、どうぞ」 「はい、接客班全員分の 衣装が完成しています。 着付けに時間がかかるので、 今日と明日で分けて 一度試着をお願いしたいです」 「了解しました」 接客班は、他の調理班、衣装班が 家庭科的な内容である事から、 男子が多めになっている。 が、ルックスから推薦されて 接客班に回った女子も多数いる。 役割が決まった頃は皆不安が多かったが 現在では良い茶屋にしようと みんな乗り気である。 ただ一人、俺と同じ顔の男を除いて。 彼は一応接客する事に対しては 何とか折れたが、普段の彼からして 絶対に笑ったりしないだろう。 ……いや、この前俺に向かって あんな演技をするくらいの 力量があるなら、その時だけ 出来るかもしれない。 なんせあんな表情豊かな龍は これまで一緒にいた中でも この前が初めてなもので、 まだ龍の事をきちんと掴めずにいる。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

126人が本棚に入れています
本棚に追加