仮面の女王

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「キャー!カッコ良い!」 「どっちがお兄ちゃんなの?」 「俺です」 「いや、俺ですよ」 開店早々俺たちは大人気となった。 自分や龍のルックスを気にした事は あまりないのだが、それ相応の ルックスがあると思えて 少し自身が持てるような気がする。 って俺は何を考えている。 俺たちの仕事はウェイターなのだが、 思い切り女子の話し相手に なってしまっている。 要するにこれ、風俗と 同じ事になるんじゃないのか…… 「えー、どっちなのー?」 「こっちの方がガキっぽいっしょ? だから俺が兄貴っス」 コイツ、完全に俺を馬鹿にしている。 「はぁッ?そんな事言ってる お前の方がガキだろ。」 「うわ、ガキが必死だな」 「ふざけ……あ、すみません」 今日だけで俺らは何回どうでも良い 口喧嘩をしたのだろうか。 まあどれも喧嘩と言っていいほど 本気のものでは無いのだが。 「ふふふ、仲良いんだね」 「男兄弟だとそんな感じだから いいよねー、私の家は姉妹なんだけど、 もっとドロッとしてるっていうか」 「分かる分かる」 よく俺と龍が喧嘩しているのを見て 仲良しだねと言う人がいる。 果たしてそんな風に見えるのか? と毎回疑問に思う俺だった。 「ウチの友達に腐女子いるんだけどさ、 双子のキスとかすごい好きなんだってー」 ギクッ。 まさに自分達の事を言っているようで 額に汗が流れるような感覚を覚える。 取り敢えず後ろ手に龍の手を 抓っておいた。 「ははは、俺とコイツは絶対 そんなのできないやー。な、蓮」 龍がニコニコしながら言う。 してるのはお前だろと言いたかった。
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