仮面の女王

8/22
前へ
/92ページ
次へ
「ぐぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」 「うぎゃっ!やぁッ!」 物陰から飛び出してくるたびに 鏡哉に密着する俺は本当に 男として最低の図であろう。 「蓮可愛い」 「うっせー!ぎゃぁぁ!!」 「……やっぱり可愛い」 鏡哉は何故こんなにも平然と しているのだろうか。 彼が何かを怖がったり 深く傷付いたり悩んだり しているのを見た事がない。 強いなー、俺と違って。 そう思っていた時のこと。 「……早く、行こうか」 突然俺の手を握って鏡哉は走り出した。 握られて分かったが少し震えている。 まさか、怖かった……? いや、それなら最初からこんな場所に 連れて来たりはしないだろう。 なら一体なぜ? 「お、おい、鏡哉?」 お化けが出てくるのも完全に 無視して全力疾走で出口へ向かう。 俺もさすがに驚いている暇が無かった。 出口の光が見えてきて最後のお化けが 現れるも鏡哉は見向きもしない。 表情はとても焦ったような、 追い詰められたような表情をしていた。 外に出ても彼はまだ走り続けている。 「おい?どうしたんだよ?」 「……あそこ」 暫くして誰もいない所へ やって来ると空き教室を見つけ、 俺はそこに入れられた。 「おい、どうした?体調でも悪「静かに……」 ダンボールの山を掻き分けて 奥へ行くと彼は俺をぎゅっとして その場にしゃがみ込んだ。 ……息がとても荒い。 表情は半分泣きそうで体は震えている。 この状況。誰かに追われている?
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

126人が本棚に入れています
本棚に追加