仮面の女王

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「……」 必死に俺を抱き締める彼は、 さっき考えていたのとは正反対に 熱っぽくて色気がある、 とろんとした目をしていて、 震えているのが分かった。 どうしようもないから背中を撫でてやる。 「……s……あ……ーん?」 遠くから微かに、女性の声が聞こえた。 どこかで聞いた事がある。 声とともに足音が聞こえて 此方に迫って来ているのが分かる。 鏡哉は犬がすすり泣くように、 くぅぅん、と声にならない叫びをあげて、 更に俺を締め付けてくる。 身体中汗まみれで体も暑い。 ……恐らく泣いている。 「ほ……かkーー…」 ミシッとゴムの足音が近付いてくる。 ……怖いけど、俺が何とかしないと。
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