仮面の女王

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圭太の顔は真剣だ。 強い眼力には思わず先程の 出来事を言ってしまいそうになる。 「……何で教えないんだよ」 「言いたくないから」 「何で?」 「……」 「……」 「……」 「どうしても答えないなら」 圭太は小さく吐き捨てると、 服を脱がされたままの俺の上に 跨ってきた。 「俺が塗り替える」 「……圭太?」 怒っていても綺麗な顔が近づいて来て、 少しだけ荒い息が俺の髪を揺らした。 圭太は俺の自身を軽く触る。 昔からの付き合いだ。 触られた事なんて何度もあるし、 遊びで一緒に抜いた事もある。 でも今の圭太は少し違う。 触り方が尋常ではない。 ……ヤバい、このままだと。 「ん……おぃ……」 「蓮が悪いんだ」 圭太はゆっくり、少しずつ硬さを 増していく俺の自身を握り、 そして彼の顔は俺の顔の目の前で はたと止まった。 ……近い。途轍もなく近い。 同性相手の癖に鼓動は高鳴り、 何を言えばいいのかを 脳に考えさせる余裕すら無い。 「止めた」 何を思ったのか、圭太は突然 俺から離れ、ベッドから降り、 颯爽と保健室から去っていった。
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