溶け込めない絵の具

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視線の先には自分と同じ髪色の高校生男子が一人。 それが後ろを振り返ったとき誤魔化しようのない状況になったがどちらにせよ和月も走らせることとなる。 「清音?」 「走って!!」 「は?うおおお、なんだよあれ!!」 「いいから走れよハゲ!!」 何も見えない人間からすれば奇妙な現場ではあるが物の怪は見えているものに襲いかかる。清音は幼い頃に何度か経験している。 本当の姿が見えるのは同じく人ではないか、人であるのにそういう力を持っているからかどちらかであるからだ。 「清音、お前も見えてたのかよ・・!!」 「最近じゃない、もっと前からだけどね!」 「は?!いつから?」 「小学生!!ああもう黙って走れよ!」 どうしよう、どうしようと考えても逃げ切れるような気がしない。小学生の頃は隠れる場所も多かった上一人だったのだが今は状況はその時よりも悪い。 (どうする・・・誰を狙ってきてる・・?) もし散らばったら誰に行くのか、一番力の強いものか、それとも弱いものか。 「あいつって殴ったら当たんのかな・・」 「そりゃこっちに触れるんだから当たるだろうけど・・・いやなにしようとしてんの?!ダメだよ?!」 「恵がいるんだぞ!!兄貴が妹二人守れないでどうすんだよ!!」 息を切らしながら半ば怒鳴り合うように走る。 徐々に人気のない方へと走る足は止まらず小さな女の子を抱えていては限界もある、だからこそ和月が足止めをと考えたのだ。 「っだめだ!!そんなことさせるくらいなら三人で走る!!」 「じゃあどうすんだよ!」 「知らないよそんなもん!!」 「「・・・っ二人でやる・・・!!」」 意見が一致したのと同時に走るスピードをあげて距離をあけ、抱えられたままだった恵を曲がり角で下ろすと恵は不思議そうに二人を見上げた。 「恵、ここまっすぐ走って行きな」 「いいか、止まるなよ」 「カズにーちゃ、きよねーちゃは?」 「あとで行くから。鬼ごっこしような」 「やだ!」 「いいから行け!!」 和月よりも気の強い清音が強く怒鳴ると恵は泣きながら走り出す。 そこで二人して角から飛び出した。
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