音に惹かれて

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色鮮やかな赤い着物に身を包み、赤い紅を引き、赤い爪、赤い髪を飾ったその女は人力車のようなものに乗っている。 それを引くのは人ではなく一つ目の妖怪だ。 「あ、あ・・・」 「怖いのね、でも無理はないわ・・このままここにいたら食べられちゃうわ、ほら、いらっしゃい」 人が三人は座れそうなものに一人乗っている女に手を引かれて軽々引き上げられた体は女の隣へ。 「あ、の」 「たまにこうして人間が迷い込むのよねぇ」 「妹、も多分」 「あら、それは大変ね。妖怪は女の肉が好きだと相場が決まってるのよ、早く見つけてあげましょ」 女の指示で動き出した人力車は道のど真ん中を行く。 よく周りを見てみれば高いビルも車もない、まるで過去へタイムスリップしたような景色だ。古く低い建物に煌びやかな女たちが手を招く宿、めまいを覚えた。 「見える人は引き寄せられちゃうのね、無意識に」 「ここって」 「この街は古くから妖怪が住まう場所、人間のお祭りが終わったあとはもう、妖怪のお祭りの時間よ」 女はニコニコ笑いながら話す。女も当然人間ではないのだろうがこちらになにかしようともしない、騙そうとしているのではとも考えたがどうもほかの物の怪たちとは様子が違う。 この人力車が通るとき、物の怪たちは道を開き頭を下げる。 貢ぎ物だとばかりに酒を掲げ、花を投げる。物の怪が恐れる存在を和月は知っている。 「青い、」 「青?」 「髪の、長くて。人形みたいな顔の女って、知ってますか。俺と同じくらいの見た目の、」 「あら、あの子のこと知ってるのね?見たことがあるの?」 「妹たちのこと、助けてくれました」 「そう、なら尚更はやく見つけなきゃだめね。」 女はどこか嬉しそうな、悲しそうな複雑な表情をしていたけれど信用できるということはわかった。 どこを走っても終の見えない祭り通りを走っていく。 「あなたはここで待ってなさいね、いくら私がいるといってもうろうろすると後に目をつけられちゃう」 和月が連れてこられたのは望楼のような場所でそこもまた華やかに飾られている。そこには紫に光る黒髪ををした男が座り、金の髪の男が立っていた。和月が入ってきたとたん空気がヒヤリとしたがかくまってくれるらしい。 女は探してくるわといってまた降りていった。  
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