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小林は歌舞伎町を何だと思っているのだろうか。
その後も小林の謎の歌舞伎町への夢物語が続いた。それを聞きながら陸は決めた。小林とは絶対に自由行動はやめよう、と。
「あ! あとさ、修学旅行といえば毎年騒がれてる話があるの知ってるか?」
「いや、知らない」
「幽霊の話だよ」
「幽霊?」
「修学旅行に行けずに死んでしまった霊が、こういう修学旅行が多い時期に姿を現すんだって! 人数数えたらひとり多かったり…集合写真に映りこんでたり……考えただけで……うおおおおお!! コエーよ!! バカ!山下!」
自分が話し出したくせに小林は自分で怖がり大声を上げ、先生から注意をされていた。
小林も大人しくなったので、すぐ着いてしまうであろうが陸は残りの時間は寝ることにした。
寝る体制に入ると小林が「えっ! 山下寝るの!? マジで? 修学旅行の新幹線の中だぞ?? お菓子食べながら恋バナが基本だろ!?」などの声が聞こえたが陸はそれを完全に聞こえないフリ。
(お菓子食べながら恋バナって女子かよ……)
そう思いながらすぐに眠りについたのだった。
***
そして本当にあっという間に東京駅へと着く。
(眠い……今すぐ家に帰って自分の部屋のベッドで寝たい)
そんな思いも虚しく、荷物を持って新幹線を降り、クラスごとに分かれ、更にそこから班へと分かれる。
全員いることを確認した後にバスへ乗り込む……筈だった。
(……?)
バスが、いない。
そこで陸は今まで眠すぎてぼやけていた視界が鮮明になり、意識もはっきりとした。
(やってしまったかもしれない)
すぐに陸はそう思った。
人数確認した後にバスへ乗り込む間、陸はトイレに行きたくてトイレへ行った。
そこでどうやら陸は少しばかり眠ってしまっていたのだ。
(ーーーここはどこだ?いや、ここはまだ駅内だ)
駅から出ると更に分からなくなる。
「……迷ったな」
これが、陸が修学旅行の地、東京に来てから最初に発した言葉だった。
そしてここからが陸の修学旅行三泊四日の幕開けである。
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