3 水没都市

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【薄紅貝のランプ】 かつてまだ世界が形を秩序を保っていた時、港町を照らしていた薄紅色の大きな巻き貝を加工して作られたランプの一つ。夜に訪れる船の道しるべとして、闇に群がる悪を祓う為に毎夜火を灯していた。今では街は海中に失われ、残されたランプは街の記憶だけをその内に宿す。 【水没都市ナト】 かつて会ったという港町、街は特徴的な灯りで彩られ、活気に満ちていたと伝えられる。今は再び浮上する日を夢に見、海中深くで眠っている。 *********** 「…それが、これか。」 ちょこ饅頭は一つのランプを手にしていた。 薄紅色の巻き貝を加工して作られた、素人目でも大層価値ある物だとわかるような代物だ。 「はい、世界が崩壊する前の話…今更出てきたのも、世界が崩壊して秩序が崩れた結果、過去の遺物が表に出るようになったみたいです。」 事も無げに言う悠々と。 『これ』を見つけたのは悠々とで、かなりの偶然だった。 「しかし、調べてみると厄介な物ですねコレ。コレの正体は『アーティファクト』とかいうヤツらしくて、世界破綻で崩れた秩序の影響で『力』を持った物品…原理的にはスキルとそんなに変わらない見たいですけど、科学的なものが物品に影響するっていうのも妙な話です。」
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