1.黒衣エネの受難

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娼館に居た頃の後遺症、ってヤツかな? 僕の身体は発育不良もいいとこで、おまけに軟禁されてたせいで肌も白い。 加齢臭漂う脂ぎったおっさんたちはそんな僕が好みで、通いつめていたんだっけな。 思い出したくもない気持ち悪さだ…橙空さん、それと同レベのことしてるんだけどなぁ。 「うわ、ぴったり。」 着てみたメイド服だけど、やっぱり採寸したみたいにぴったりのサイズ。 寝てる間に測ってるんじゃないだろうか。 「凄く可愛いじゃない!さっすが私よね~」 「んー僕、もっとこう着物みたいなのが好きなんだけどなぁ。」 何故か、かなりはしゃいでる橙空さんに言う。 好き、というか何か慣れていて落ち着くというか、まぁそんな感じで僕は好んで着物を着てる。 袖口がぶかぶかだから、暗器を隠し持つのにも便利だしね。 「そんなこと無いよ!!とてもよく似合うって!!」 「………」 本来ならば否定するべき言葉なのだろう。 でも、何でか否定の言葉は出てこなかった。 嫌な気がしなかったからだ。 女装はあまり好きじゃない、職業柄慣れてはいるけど、だからこそそれを求めてた連中への嫌悪感は凄くある。 でも、橙空さんはそいつらとはどこか違う気がしている。
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