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カンッと乾いた音を打ち鳴らす木製の剣と錫杖。大柄な少年の打ち出す剣を錫杖を持つ少年がひたすら受け続ける。
「おらおら、どーしたよっ!もうしまいか?」
剣を繰り出す少年は罵声を浴びせながらも攻め手を休めない。当然、防ぐことしかしない少年は徐々に追い詰められていく。
「サンドバックにはお似合いだな。一生そうしてろよ」
とうとう武器を弾かれ首元に剣を突き付けられた少年は蔑む視線と言葉に項垂れ、長い髪を地面に垂らした。
それでも最後まで言葉を発しなかった少年に勝利した彼は興味を失い、去っていく。
──なにがしたかったんだろ?
立ち去る少年に視線を向けて首を傾げる。街ですれ違う度に向けられる剣に意味を寸分を理解出来ない少年には抵抗する事さえ億劫でしかなかった。
──誰か代わってくれればいいのにな。
無駄と知りつつ願う少年を嘲笑う様に、空は雨を降らせ始める。
しかし、少年が無駄な願いと思うそれが無駄でないと知る日はそう遠くない。
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