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火の力を有する紅の王国。その王都に仕える騎士団の一人、ディムス・エルロン。
「はっ……はっ……」
腰程まである長い金髪を紅い髪留めとハチマキで纏める彼は、団支給の鎧を鳴らし。
「……くっ!」
腰に差した鞘から剣を抜き、目の前を遮る木々を切り裂き駆け抜ける。
──振り切ったか?
思考しながら振り返る先には、眼を血走らせた魔の付く獣。
四肢を分厚い筋肉の鎧に包み、鋼の様な体毛を持つソレは鋭い牙を剥き出しにし喉を鳴らす。
「くっそ、しつこいだろ!?」
言いながら、しかし、剣を構える。
もはや逃げ道等とうに絶たれた状況で戦う以外の選択肢は無いようにである。
騎士が覚悟を決めると同時、獣は鋭い爪で持って騎士に襲いかかる。
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