序章

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碧の放国。その名の由来は放たれた国。 あらゆる束縛より放たれたこの国は海に接するという特徴を貿易にと活かし、様々な人達で賑わいを見せる。 「待ちやがれ!このクソアマ??」 中でも特に賑わいを見せるここ、港町ミズガルド。 その露店街を一つの怒号に追われる少女が一人。 「待てと言われて待つ盗賊がいると思う?」 黒髪をショートに纏め、碧いチョーカーで首元を覆う彼女は怒号に怯む事なく得物を見せ付ける様に口に運ぶ。 「ん~……美味しいっ!流石は八百屋のおっちゃん。いい仕事するねぇ」 「おっ、解るかい?…………じゃなくて!盗むんじゃねぇよ!」 瑞々しい果実を齧りながら逃げる少女と追う八百屋の店主。 この港町では最早日常風景であった。 ──── ─── ── ─
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