184人が本棚に入れています
本棚に追加
時を遡る事、三時間前。
私達は一組のカップルの挙式を成功させた。
本来ならば、『お疲れ様』『いいお式でしたね』なんて互いを讃え、充実感たっぷりに美酒を堪能しているハズなのだが…
普段、温厚な花ちゃんが此処までクダを巻いてお酒を煽っているのには、それ相応の“理由”がある訳で…
それは……
式も無事に終わり、御来席のお客様を送り出した直後に起きた。
**********
「七瀬さん。」
透き通った声に呼ばれ、スタッフに指示を出しながら作業をしていた私は硬直した。
出来れば顔を会わせずして、とっととハネムーンへと旅立って欲しかった。
「どうされました?何かご不備でも?」
式は終わったとはいえ、新郎新婦を送り出すまでが私の仕事。
笑顔を携え、新婦の元へと駆け寄った。
最初のコメントを投稿しよう!