2人が本棚に入れています
本棚に追加
スーツを着た、男の人だった。
少し、くるりとカーブした栗色の髪の毛に、
透き通るような茶色の瞳。
とても、整った顔を持つ、ひとだった。
彼は、ベンチの背もたれの向こう側から、あたしに傘を差していた。
少し遠くに見える、飛行機を見つめながら。
「あ、の…」
口から言葉を発するのは久しぶりだったから、
少し掠れた声になる。
呼ばれた彼は、ゆっくりと視線をあたしに向けて。
あたしと、彼の視線が絡む。
最初のコメントを投稿しよう!