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背中を暑さのせいではない嫌な汗が流れるのを感じながら、恐る恐る手の主を見上げた。
会長は真矢の顔を見ると、自分やった行動に驚いたような顔をして、すぐに腕を離してしれた。
「突然掴んで悪かった。…ちょっと知り合いに似ているような気がしたのだが、どうやら人間違えだったみたいだ。」
「そうですか。俺は大丈夫なんで気にしないでください。それでは、これで失礼します。」
「悪かったな。……あ、ちょっと待て。」
「はい?」
「お前、親戚にマヤって奴はいないか?」
「居ませんけど、どうしてですか?」
「いや、居ないならいいんだ。何度も悪かったな。」
「いえ。失礼します。」
そう言って歩き出した真矢だったが、
会長が見えなくなった瞬間、走り出した。
教室に駆け込んで、その場に疲れて崩れ落ちた真矢に伸司は駆け寄り、
真矢が床に落として転がっているお茶を拾って、近くの机に置いてから、真矢を抱き起こした。
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