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「どうしたんだ?」
翔は驚いたように立ちつくしている緋色の肩をポンと叩くと、家にあがっていった。
(翔くんだ。お兄ちゃんが来たのかと思った。なんでだろう。全然似てないのに)
二人とも長身だが、亮は細身で柔和な顔をしていた。反対に、翔は精悍な顔で逞しい体形をしている。印象がまるで違う。
部屋に戻る時ふと台所を見ると、母親の有希子と芙紗子が何か探し物をしている。いつもは忙しい有希子もこの日だけは休みを取っていた。
「何してるの?」
「小麦粉とパン粉の買い置きをさがしているのよ。でも、見つからないのよね」
確かにあったはずだと色んな所の扉を開けている。
「買ってこようか?」
今日はみんなうちに泊まることになっているから、ついでに、お菓子を買おうと思ったのだ。
「ほんと? 助かるわ。じゃ、小麦粉とパン粉と卵と、あとお豆腐もお願い」
さっきより品数が増えている。
お金を受け取ると、みんなのいる和室へ顔を覗かせた。
「買い物に行ってくる」
「どこに?」
「スーパー」
「わたしも行く」
里花が立ち上がる。
「おれも、お菓子とか買いたい」
藤と佐々が素早く手をあげた。
「みんなで行こうか」
晃希がいうとみんな賛成した。気分転換は必要だ。
先に出たのは、緋色と里花だった。
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